往診料
★往診料にも『在宅ターミナルケア加算』『看取り加算』が新設されました
死亡日を含む15日間に、退院時共同指導料1を算定していれば、自宅にてお看取りした際に、ターミナルケア加算と看取り加算を算定することが出来るようになりました。
疑義解釈より
死亡前15日間に、訪問診療料を1回でも算定していれば、訪問診療料の加算として算定します。
★往診料に『介護保険施設等連携往診加算』が新設されました
介護保険施設等の協力医療機関に定められ、入所する患者に対し急変時に往診対応した場合に200点算定できます。(要届出)
以下の要件を満たす必要があります。
①ICTを活用して診療情報や対応方針が常に確認可能な体制
②月1回以上のカンファレンスを実施、または、普段からICTを活用して情報共有していれば年3回以上のカンファレンスを実施
疑義解釈より
全ての介護保険施設等とカンファレンスを実施する必要はないが、算定できるのは定期的なカンファレンスを実施している施設の入所者に限る。
●協力医療機関とは・・・
①入所者の病状が急変した場合において、医師または看護師が相談対応を行う体制を有する
②診療の求めがあった場合は、診療の体制を常時確保している
疑義解釈より
配置医師=協力医療機関ではないが、配置医師が所属する医療機関が、協力医療機関になることはできます。
●介護保険施設等とは・・・
①介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
②介護老人保健施設
③介護医療院
疑義解釈より
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症対応型グループホームは含まれません。
介護保険施設等(特養・老健・介護医療院)の協力医療機関であって、平時から連携体制を構築している医療機関が、入所者の急変時に対し往診を行った場合算定可能です。
★往診料の緊急往診加算、夜間・休日往診加算、深夜加算における『別に厚生労働大臣が定める患者』とは?
①自院において、過去60日間に在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)または在宅がん医療総合診療料を算定している患者
疑義解釈より
同一患家2人目以降の場合で、初再診料を算定する患者も含まれます。
②過去180日以内に自院の外来診療を受けているかかりつけ患者
③往診医療機関と連携する医療機関(自院)において、過去60日間に訪問診療料等を算定している患者
④協力医療機関(自院)として定められている介護保険施設等に入所している患者
※退院後に在宅医療を予定していたが、一度も訪問診療することなく往診だけで、時間外にお看取りになってしまった場合は、①の要件を満たせないので『その他の場合』の減算点数で算定することになります。
(その場合、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算、在宅療養実績加算も算定できません)
★ICTを用いた連携の推進『往診時医療情報連携加算』を新設
こちらは、在支診・在支病の医療機関が、それ以外の医療機関とICTを用いて患者さんの情報を共有し、それ以外の医療機関をフォローした場合の評価として新設されたました。
算定要件は、以下の通りです。
①在支診・在支病以外と月1回程度の定期的なカンファレンス又はICTの活用
②患者の診療情報、急変時の対応方針等の情報共有
③患者に在支診・在支病の情報を事前に提供している
④在支診・在支病以外の対応が困難な時間帯に往診した場合
算定する際、ICT活用した患者情報などをカルテに記載することとなっています。
要件を満たすと月1回200点が算定できます。
今後も在支診・在支病の役割として、それ以外の医療機関をサポートする流れは大きくなっていくと思われます。
自分の所さえ良ければいいという考えではなく、上手に周りの医療機関を巻き込んで、地域全体で在宅医療を推進していこうと言うことかもしれませんね。
訪問診療料
★訪問頻度が高い場合の在宅患者訪問診療料が見直されました
支援診・支援病において、毎月1日の時点で、直近3か月の訪問回数の平均(訪問回数/患者数)が12回以上の場合、該当する患者全ての当月5回目以降の訪問診療料を50/100で算定
おおよそ、一人当たり4回/月以上が該当になります。
★訪問回数が多い医療機関への減算措置がとられました
訪問診療料を算定する全ての医療機関において、法人全体で、毎月1日時点の直近3か月間の訪問診療の回数(在医総管/施医総管全ての区分)の合計が2100回以上の場合、法人内すべての10人以上の区分で60/100で算定
但し、次の要件を満たしていれば減算の必要はない
①直近1年間に5つ以上の医療機関からの文書による紹介で訪問診療を開始
②直近1年間で看取り件数20件以上、または重症児の診療実績があること
③直近3か月で施設総管を算定した患者が、全体の7割以下
④直近3か月で要介護3以上、または別表第8の2の患者が5割以上
注意!
訪問回数の算出は法人全体の全ての医学管理料区分で行い、減算は10~19人、20~49人、50人以上の3つの区分のみで減算する
疑義解釈より
経過措置:2024年3月31日までに開設した特別な関係の医療機関(同法人)は、訪問診療回数に含めなくて良い
2024年6年9月30日までは、一般診療所・病院区分「3」で算定可
10月以降は、要件を満たせなくなった場合、様式19の2を届け出た上で、当月から減算する
★在宅患者訪問診療料に在宅医療DX情報活用加算が新設されました!
在宅における診療計画の作成において、居宅同意型オンライン資格確認システム、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスにより得られる情報を活用し訪問診療を行った場合に算定できます。(要届出)(月1回 10点)
ポイント!
●診療計画の作成において、予め診療情報等を活用していない場合には算定できません。(要件を満たした患者ごとの算定になります)
●経過措置:電子処方箋導入(2025年3月31日まで)
:電子カルテ情報共有サービス導入(2025年9月30日まで)
※居宅同意取得型のオンライン資格確認システムには、経過措置が設けられていないため、導入・活用を開始してからの算定となります。
(疑義解釈より)
(電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスについては、未導入でも経過措置期間までは要件を満たしたものとして算定できますが、期日以降も未導入な場合は算定できません)
注意!
同一月に『医療情報取得加算』『医療DX推進体制整備加算』『訪問看護医療DX情報活用加算』を算定した場合には算定できません。
在宅時医学総合管理料
★ICTを用いた連携の推進『在宅医療情報連携加算』を新設
在医総管・施設総管の加算として、多職種がICTを用いて記録した患者の診療情報を、医師が診療に活用した場合、『在宅医療情報連携加算』が月1回100点加算できます。
ポイントは、以下の通りです。
①患者からの同意を得ること
②ICTを用いた記録(過去90日以内に記録された情報が1つ以上)があること
③医師が行った診療情報等も記録し、関係職種に共有すること
④情報を共有できる連携機関の数が5つ以上あること
①について、新たな患者からの書面による同意は不要です。今後は契約書に一言書き加えておくと良いかと思います。
②については、患者全員に算定できる加算はなく、連携した実績が必要です。アクティブ患者リストを作成すると良いですね。
③は、医療機関側も診療情報等をICTデバイスに記録する必要があります。結構手間がかかる作業になるかと思われます。
④は、施設基準であり、ほとんどの医療機関で要件はクリアできると思います。
★『在宅時医学総合管理料/施設入居時医学総合管理料』が更に細分化!
こちらも、また驚かされましたね。 驚きを越えて笑ってしまいました。
今でさえ複雑で分かりづらいこの管理料が 更に細分化されるようです。
数えてみたら在医総管・施設総管合わせて 200通り!の項目が存在することになります。
さらに機能強化型の支援診・支援病には施設基準に要件が追加になって 、『訪問診療回数が一定回数以上越えないこと』とあり、 それを超える場合は データ提出加算の届出(定期的にデータ報告義務)をしないと 在医総管・施設総管自体が算定できなくなります!!
これを算定できないとなると・・・ 大きな打撃ですね。。。
また、 在宅患者訪問診療料にも訪問の上限回数が設けられます。
ポイントは、『直近の~』です。 この言葉は、事務員を苦しめます。。。
毎月集計して、算定できるかどうかから チェックしなくてはいけないからです。
このような背景に至った経緯はおそらく 規模の大きな施設の患者さんを 一度にたくさん診ている医療機関が 必要以上に訪問診療を実施していることが散見され 問題が上がっていたからだと思われます。
ただ、このような医療機関に該当しなければ 事務方としては点数の変更はあれど 運用上影響は少ないと思います。
改めて、 自院の診療方針を見直すきっかけにはなるかもしれませんね。
★『包括的支援加算』『頻回訪問加算』要件が厳密化?!
まず『包括的支援加算』の要件ですが 、要介護3以上 、認知症生活自立度もⅢa以上になりました。
また『頻回訪問加算』も 初回800点と2回目以降300点の点数に分かれましたね。
これも軽度の要介護者や認知症患者を受け入れている施設に 頻回に訪問を行っている医療機関の実態があり、 レセプトデータで分かってきたようです。
疑義解釈より
頻回訪問加算を6月以前に算定済みの患者に対しては、6月からは『2回目以降300点』で算定します
在宅療養指導管理料
★在宅強心剤持続投与指導管理料が新設されました
心不全患者に対し強心剤の持続投与を行う指導管理を行った場合、月1回1500点算定
対象患者は、循環血液量の補正のみでは心原生ショック(Killip分類classⅣ)からの離脱が困難な心不全患者
対象薬剤は、ドブタミン塩酸塩製剤、ドパミン塩酸塩製剤、ノルアドレナリン製剤を輸液ポンプを用いて持続投与した場合
心不全の治療に関し、専門知識並びに5年以上の経験を有する常勤の医師が行うこと
ポイント!
注入ポンプ加算も併算定できるので、算定漏れの無いように。
(携帯型ディスポーザブル注入ポンプ加算は対象ではありません)
疑義解釈より
心不全の原因となった疾患は問わない
★在宅悪性腫瘍等患者指導管理料が①在宅麻薬等注射指導管理料と②在宅腫瘍化学療法注射指導管理料に分かれました
①在宅麻薬等注射指導管理料
現行の末期の悪性腫瘍患者、筋萎縮性側索硬化症または筋ジストロフィーの患者に麻薬等の注射の指導管理を行う場合における算定要件に変更はなし
対象患者に、緩和ケアを要する心不全または呼吸器疾患の末期患者が追加されました
②在宅腫瘍化学療法注射指導管理料
抗悪性腫瘍剤等の注射に対して指導管理を行う場合における算定要件、対象患者共に変更なし
★在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料に情報通信機器を用いた場合の点数がつきました (月1回218点)
算定要件は以下の通りです
①CPAP療法を実施している閉塞性無呼吸症候群の患者である
②CPAP療法を開始したことで、症状が改善していることを対面診療で確認した場合
③CPAP管理データは情報通信機器を用いた診療においても確認する
④症状の悪化等が生じた場合は、速やかに対面診療に切り替える
⑤情報通信機器を用いたCPAP療法に関わる指針に沿った診療を実施する
その他
★機能強化型支援診・支援病の在宅データ提出義務化届出期限が迫っています
【届出スケジュール】
000345284.pdf
厚生局事務連絡疑義解釈(その7)より
問11
機能強化型の在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院の施設基準において、各年度5月から7月の訪問診療を実施した回数が 2,100 回を超える場合は、次年の1月までに在宅データ提出加算に係る届出を行うこととされているが、この「届出」の取扱い如何。
(答)
様式7の 11 を用いて、地方厚生(支)局長を経由して、厚生労働省保険局医療課長に届出を行うこと。また、様式7の 11 を提出するにあたっては、事前に、様式7の 10 の届出を行ったうえで、試行データを外来医療等調査事務局に提出し、データ提出の実績が認められる必要がある。
なお、令和6年3月 31 日時点で在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の届出を行っている医療機関においては、令和7年5月 31 日までの間に限り基準を満たしているものとされていることから、令和7年6月2日までに様式7の 11 の届出を行うこと。令和7年6月2日までに様式7の 11 の届出を行おうとする場合、遅くとも令和7年2月 20 日までに様式7の 10 を届出する必要があるため、留意すること。
ポイント!
令和7年2月20日までに様式7の10の届出ができないと、令和7年6月以降、機能強化型支援診・支援病は取り消しになります。(従来型または支援診以外の医療機関扱いでの在医総管・施医総管で算定になります)
★訪問看護指示書の様式が変更されました
訪問看護指示書の様式に、『主たる傷病名』欄の下部に『傷病名コード』(数字7桁)の記載欄が設けられました。
傷病名コード一覧:001235907.xlsx (live.com)
傷病名マスター検索:診療報酬情報提供サービス (mhlw.go.jp)
ポイント!
現在、修飾語コードの記載対応ができず、本体コードのみの記載でOKのようです。
★ICTを用いた連携の推進『在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料』を新設
こちらもICTの活用を推進する動きの中で新設された項目になります。
過去30日以内に『在宅医療情報連携加算』を算定している末期の悪性腫瘍の患者に対し、ICTを用いた記録を活用しACPを行った場合に算定できるとされています。
こちらはしっかりと、以下の内容をカルテに記載することが要件となっています。
①活用された情報を記録した者の氏名
②記録された日
③取得した情報の要点
④患者に行った指導の要点
ICTデバイスでの情報をカルテに転記するのは少し手間かもしれませんが、要件を満たすと月1回200点が算定できます。
こちらも算定漏れの無いように、アクティブ患者リストを作成しておくとよいですね。
疑義解釈より
主治医以外の同一医療機関の医師による指導を行った場合でも算定可能(患者の同意は必要)